
VEGAの由来
V(バリュー)E(エンジニアリング)GA(グローバルアーティスト)
職人とグローバルなアーティストが一緒になって新しい価値を生み出し、
星のように輝きながら世の中の役に立てるようにと願っています。
ヒカリのキャンバス
地球は自転しながら闇と光を繰り返します。VEGAでは水盤が闇の空間ならヒカリのキャンバスは光の空間です。
光の空間に最初に足を踏み入れてから30年の歳月が流れました。
最初はまだ闇だった空間に窓をつくり、床や壁を張りました。
なぜ、そうしたのか…梁がとても美しく力強い生命力を感じたから。
それから長い年月をかけながらちょっとずつ空間を進化させていきました。
ある時、スイスでピーター・ズントーの名作「聖ベネディクト教会」を見る機会を得ました。
素晴らしい建築でしたが、近くに雪崩で崩れた以前の教会も残してあると聞き、それも観に行きました。現地に着いた瞬間、私は強い衝撃をうけました。
それはキリスト教会建築誕生の伝説を知っていたからです。
その昔、山里の敬虔な信者である農民たちが、畑を開墾して出た石を積み上げて教会を造ったという話ですが、その伝説が本当だったのです。
私はその場に魅了され、この時の記憶は私の心に深く刻まれることとなり、やがて木の端材から生まれたウッドキューブや光ブロックを使ったヒカリのシリーズ作品、「prayer・祈り」「十字架」「渡り鳥」を生み出すことに繋がります。この作品は日本古来の魔除けや幸運を呼び込む紋様と呼ばれる「矢来紋」「菱紋」から着想したものです。光ブロックに差し込む太陽光で空間には四季折々、時間の経過とともに様々な光彩が現れます。
「prayer・祈り」では朝日の瑞々しい光が、「十字架」、「渡り鳥」では午後から夕暮れにかけての鮮やかな光彩が空間全体に振り注ぎます。ヒカリのキャンバスの由来はここからきています。渡り鳥は太陽や星を「道標」に生きた日時計のように目的地に到達することができます。VEGAという遠い星からV字編隊を組みながら宗教・人種・人の心・国などの境界を乗り越えすり抜けてこの空間に聖なる光の恵みを与えてくれるのです。
ヒカリのキャンバスは古代人類が生み出した太陽暦をVEGAによって再現させたとも言えるでしょう。
共に消えゆく運命だったスイスと富山の二つの建築が重なり合って出来た空間の物語、ここを訪れた人がいつまでも先人への敬いを、自然を、地球を、宇宙を、愛情で希望に満ちた心で接するきっかけとなってくれることが私の願いです。
土の間の水盤
水盤の根底にあるのは「借景」自分たちが何かを加えるのではなく、扉の向こうにある自然の美しさを頂戴すると言う発想でその背景には「自然は自分よりもはるかに大きな存在であると言う」と言う畏敬の念があるからです。
水盤に入った際に感じる暗闇の張り詰めた静けさと緊張感、全て意識が「うちなる沈黙」へと帰っていきます。その空間に入ると人は自然と声を潜めます。
その空間に身を置き、空間に流れる気配は沈黙を通して人の感性を目覚めさせます。
そして扉が開いた瞬間、自然を暗闇だった空間に迎え入れ、空、光、水、風、静けさ、音の響き、を感じることになります。ミニマムな空間なのになぜか落ち着く、言葉にならない豊かさに包まれているような感覚こそが水盤でのアート体験であり、その美しさの本質こそが「余白」なのです。
ここでは埋め尽くし、便利さを求めてきた中には感じられなかった「癒し」で心が満たされるのです。人間の理性ではなく、感性が知っている答えなのかもしれません。
私たちが「時間」と言う概念に支配されている今だから…ここに流れる自然の時の流れによって…
JADE PLANET
Jade planet 「翡翠の惑星」と名付けられたガラスシリーズはシェード、器、オブジェクトの概念を超えて、翡翠ガラスの美しい色合いを自然が醸し出す色のように境目のないグラディーションで表現し、自然の光や人工の光を纏わせることで柔らかで幻想的な世界観が生まれるのではないかと考えました。そしてそれらを空間に点在させるとまるで宇宙の銀河系のようにも見えるのではないかと、先人たちが長い時間をかけて開発された翡翠色を富山ガラスの技術でさらに進化させながら、放たれる光が新たなるガラスの希望の表現として日本の空間はもとより、世界中の空間を幻想的に照らすことを夢見ています。